「近助」「互近助付き合い」「防災隣組」 山村武彦(防災システム研究所 所長)
★近助(きんじょ)
地域防災は「自助」「共助」が基本といわれます。私はそれに「近助」を加えることを提唱しています。自助は自分や家族を守る当然のこと、自主防災会や自治会などでみんなで助け合う共助も大切です。
しかし、日頃の見守りや災害発生時は遠くのみんなより、家族、隣人、向こう三軒両隣など、近くにいる人が頼りになります。みんなで助け合う「共助」と共に、顔の見える近くにいる人が近くの人を助ける「近助」です。
少子高齢化社会では「近助」の支え合いが不可欠。「近助」は、地域だけでなく、学校、職場、出先などその場その場で、困った人、手を貸す必要のある人を近くにいる人が助けます。当たり前のことが当たり前になれば、これからもずっと住みたいまちになるのです。
★互近助(ごきんじょ)
互いに近くで助け合うのが「ごきんじょ」です。近くにいる元気な人が助けを必要とする人を助けるのです。
★防災隣組10則
1、ほどよい距離感で(結び目はあまり固く結ばない、べたべたしない。プライバシー には深入りしない)
2、困ったときはお互い様の心
3、挨拶は先手必勝(相手がしたらしようと思わず、気付いた方から先にいう)
4、気持ちよい前向き挨拶(「嫌な雨」というより「良いお湿り」というように、プラス 志向で)
5、日常行事に積極参加・参画(役割を分担する)
6、欲張らないで、身近なことからコツコツと続ける
7、回覧板は、顔見て挨拶しながら手渡しで
8、いざという時は、ためらわないで自分から声かけて
9、向こう三軒両隣で安否確認チーム(同じ時代同じ地域に住む運命共同体)
10、できる人が、できる時に、できることを、無理なく、自分のために、楽しんで
災害から命を守る準備と行動「スマート防災」 山村武彦著 より
防災訓練といえば、消火訓練、避難訓練、安否確認訓練、救出救護訓練、炊き出し訓練、 避難所運営訓練等が定番。 それぞれが重要訓練であることは間違いない。 しかし、よく考えてみると、それらの多くが災害後対処訓練でしかない。 命を守ることを優先するスマート防災の観点からすると、大切な訓練が抜けている。
欠落しているのは「火を消す訓練の前に、火を出さない訓練」であり、「避難訓練の前に、 状況別行動選択訓練」 「閉じ込められた人を助ける訓練」の前に、「閉じ込められないようにする訓練」、「警報や避難勧告を待って避難」するのではなく、各自が判断し行動する「早期自主避難訓練」。つまり、災害予防訓練を重視すべき。
もちろん、津波や土砂災害に対しては「早期避難に勝る対策なし」であり、災害後の二次災害防止訓練はそれぞれが重要な訓練であることは論を待たない。また、防災対策には、ハード、ソフト、システム、教育、訓練など幅広く多岐にわたるがどれひとつ不要なものはない。 しかし、全てを同時に推進することは困難であり合理的でない。だからこそ、優先順位の明確化である。
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